親との話し合い

親と終活の話をするときに聞いておきたい30の質問

この記事のポイント

  • 30の質問は「親の情報整理シート」と同じ順番(基本情報→医療→生活→お金→重要書類→デジタル→葬儀+家族への希望)
  • 金額を聞くことは必須ではない。「ある・ない」「どこにあるか」で十分
  • 1回の会話で1〜3問。聞けた答えはそのまま情報整理シートに書き写せる

親に聞いておきたいことを、30の質問に整理しました。並び順は「親の情報整理シート」と同じ(基本情報 → 医療 → 生活 → お金 → 重要書類 → デジタル → 葬儀・お墓 → 家族への希望)なので、聞けた答えはそのままシートの同じ欄に書き写せます。上から順に全部聞くものではありません。「今なら聞けそう」と思うものを3つ選んで、そこから始めます。

A. 基本情報・緊急連絡先(1〜4)

  1. 住民票の住所と本籍地は?(相続や登記の手続きで必要になる)
  2. 緊急のとき、まず連絡してほしい人は?(名前・続柄・電話)
  3. もう1人、連絡してほしい人は?
  4. 親戚・友人・近所で、いざというとき頼れる人は?

B. 医療・介護(5〜10)

  1. かかりつけの病院と担当の先生は?
  2. 持病やアレルギーは?
  3. 飲んでいる薬は?(お薬手帳の場所)
  4. 健康保険証(マイナ保険証・資格確認書を含む)・介護保険証はどこにある?
  5. 介護が必要になったら、どこで過ごしたい? 施設についてはどう考えている?
  6. 延命治療について、希望はある?

「本人がどうしたいか」を先に聞いておくことが大切です。医療やケアの希望を家族で話し合っておくことは、国も「人生会議(ACP)」として呼びかけています。

C. 生活(11〜13)

  1. 今の生活で、不便に感じていることはある?
  2. 手伝ってほしいこと、逆にしてほしくないことは?
  3. ペットがいる場合、世話をどうしたい?

D. お金(14〜19) ※金額・口座番号は聞かない

  1. 取引のある金融機関はどこ?
  2. 年金は何を受け取っている?(種類)
  3. 加入している保険は?(会社名と種類)
  4. 毎月の固定的な支払い(ローン・サブスクなど)は?
  5. 借入や、誰かの保証人になっていることは?
  6. 不動産(家・土地)はある?

E. 重要書類のありか(20〜24)

  1. 通帳・印鑑はどこにある?
  2. 保険証券・年金手帳はどこ?
  3. 不動産の権利証はどこ?
  4. 実印・印鑑登録カードはどこ?
  5. エンディングノートや遺言はある? 保管場所は?

F. デジタル(25〜27) ※ID・パスワードは聞かない

  1. スマホ・パソコンは使っている? 使っているスマホの会社は? ロックの解除方法を家族の誰かが知っている?
  2. よく使うサービス(メール・SNS・ネット銀行など)は?
  3. 把握している有料のサブスクは?

デジタルの確認は「親のスマホとデジタル遺品」でくわしく解説しています。

G. 葬儀・お墓(28〜29)

  1. 葬儀は、どんな形にしたい? 宗教・宗派で気をつけることは?
  2. お墓はある? どこにある? 訃報を連絡してほしい人のリストはある?

話せる範囲で十分です。答えたくなさそうなら、無理に踏み込みません。

H. 実家・家族への希望(30)

  1. 実家をどうしたい?(住み続ける/売る/貸す/子が住む)。残しておきたいもの・家族に譲りたいもの、きょうだいに協力してほしいことは?

A〜G は情報整理シートの各セクションに対応しています。H はシートにはない、家族で話しておきたいことです。

「全部聞く」ことを目標にしない

30すべてを聞き出す必要はありません。1回の会話で1〜3問、聞けたら十分です。少しずつ埋めていくつもりで進めてください。答えを引き出すことより、「この話をしてもいい」という空気を家族の中につくることのほうが大切です。

聞いた答えの残し方

会話は、記録しなければ次の機会には忘れてしまいます。

  • 聞けた答えは、その日のうちに1か所へ書き留める
  • 金額・暗証番号・パスワードは書かない。「何が・どこにあるか」を中心に
  • 書いたものの保管場所を、家族の誰かと共有しておく

まとめる先としては「親の情報整理シート」、進み具合を確認したいときは「会話チェックリスト」が使えます。

親が答えたがらないとき

デリケートな質問(お金の詳細、葬儀、延命治療)を嫌がるのは自然なことです。その場は引いて、答えやすい質問から先に進めます。強く拒まれるときの向き合い方は「親が終活を嫌がるのはなぜ?無理に進めず始める方法」を参考にしてください。

この記事のまとめ

  • 30問の並びは「親の情報整理シート」と同じ。聞けた答えは同じ欄にそのまま書き写せる
  • 上から全部ではなく、「今なら聞ける3つ」から。1回の会話で1〜3問
  • 金額・パスワードは聞かない。「ある・ない」「どこにあるか」で十分
  • 聞けた答えはその日のうちに記録し、書いたものの場所を家族と共有する

この記事の内容を、手を動かして整理できます。

情報整理シートに記録する

よくある質問

30問すべてを聞かないといけませんか?
いいえ。全部を聞き出すことは目的ではありません。1回の会話で1〜3問、聞けたら十分です。「今なら聞けそう」と思うものから選び、数か月かけて少しずつ埋めていくつもりで進めてください。
お金の金額まで聞くべきですか?
必須ではありません。子どもがまず把握すべきは「どの金融機関か」「保険や不動産があるか・どこにあるか」で、金額の中身は本人と一緒に必要になったときに確認すれば十分です。金額から入ると警戒され、「場所」も教えてもらえなくなりがちです。
親が話したがらないときは、どうすればいいですか?
答えたくなさそうな質問は、その場で引きます。まず答えやすいもの(かかりつけ医、緊急連絡先、書類の場所など)から聞き、デリケートな話(お金の詳細、葬儀、延命治療)は回数を分けて少しずつふれます。強く拒まれるときの考え方は「親が終活を嫌がるのはなぜ?」で解説しています。
IDやパスワードも聞いておいたほうがいいですか?
この場では聞きません。パスワードそのものを教わっても、本人が亡くなったあとに家族が使うと規約違反や不正アクセスにあたる場合があります。「どのサービスを使っているか(存在)」を知っておけば、もしものときに正規の手続きで対応できます。
聞いた内容は、どこに記録すればいいですか?
その日のうちに1か所へ書き留めます。家族で使える情報整理シートや、市販のエンディングノートが向いています。金額・暗証番号・パスワードは書かず、「何が・どこにあるか」を中心に残し、書いたものの保管場所を家族の誰かと共有しておきます。

参考にした情報

  • 「人生会議」してみませんか(ACP:医療・ケアの希望の話し合い) (厚生労働省)
  • マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証・資格確認書) (厚生労働省)
  • 地域包括支援センター (厚生労働省)