親が亡くなったら何をする?期限つき手続きチェックリスト
この記事のポイント
- 全部を1人・1日で終える必要はない。まず『今日・明日中にやること』5つに絞る
- 手続きの期限は7日・14日・3か月・4か月・10か月の5段階。近い順に動けば漏れにくい
- 口座・保険・年金は『止める手続き』と『受け取る手続き』に分けて考えると整理しやすい
親が亡くなったあと、家族は悲しむ間もなく手続きに追われがちです。ですが、すべてを1人で・1日で終わらせる必要はありません。この記事では、期限が近いものから順に整理し、「今日・明日中にやること」と「少し落ち着いてからでよいこと」を分けます。役所での手続きだけでなく、口座・保険・年金といったお金まわり、遠方のきょうだいとの分担のしかたまで、子ども目線でまとめました。
今日・明日中にやること TOP5
葬儀社が決まっていれば、多くは葬儀社と一緒に進められます。まず把握しておきたいのはこの5つです。
- 死亡診断書(死体検案書)を受け取る:医師が発行。以後のほぼすべての手続きで原本またはコピーが必要
- 死亡届を提出し、火葬許可証を受け取る:死亡の事実を知った日から7日以内が原則。多くは葬儀社が代行してくれる
- 葬儀の日程と場所を決める:親族・関係者への連絡とあわせて
- 勤務先・学校への連絡:喪主や家族が仕事を休む必要がある場合
- 医療費・介護費の支払い状況を確認する:入院・施設利用中だった場合
期限で見る:5段階の手続き
期限が近い順に並べると、優先順位がつけやすくなります。具体的な期限や必要書類は、制度改正や自治体の運用で変わることがあるため、目安として捉え、窓口で最新情報を確認してください。
7日〜14日以内
- 死亡届・火葬許可申請(死亡を知った日から7日以内が原則)
- 世帯主変更届(世帯主が亡くなり、残る世帯員が2人以上の場合)
- 健康保険・介護保険の資格喪失届(国民健康保険・後期高齢者医療制度などは14日以内が目安)
- 年金受給権者死亡届(日本年金機構へ。年金は自動では止まらない)
3か月以内:相続放棄・限定承認を検討する期限
借金などマイナスの財産が多い可能性がある場合、相続の開始を知った時から3か月(熟慮期間)以内に、家庭裁判所へ相続放棄または限定承認の申述をするかどうかを判断します。財産の全体像がまだ分からない場合、期間の伸長を申し立てられることもあります。
4か月以内:準確定申告
親に一定の所得があった場合、相続人が代わって確定申告をする「準確定申告」が必要になることがあります。期限の目安は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。該当するかどうかは、税務署または税理士に確認します。
10か月以内:相続税の申告・納付
相続税がかかる場合、申告と納税の期限の目安は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。基礎控除の範囲内であれば申告は不要なケースが多いですが、財産の評価や特例の適用は個別の事情で大きく変わるため、早めに税理士へ相談すると安心です。財産の全体像を先に把握しておくと、この段階がぐっと楽になります。「親の財産、何を確認する?」もあわせてご覧ください。
お金は「止める」「受け取る」で整理する
死後のお金まわりの手続きは、種類が多く混乱しやすいので、2つの視点で分けると整理しやすくなります。
- 止める手続き:口座からの自動引き落とし(公共料金・サブスクなど)、クレジットカードの解約、運転免許・パスポートの返納
- 受け取る手続き:生命保険金の請求、未支給年金の請求、高額療養費の還付、遺族年金の請求
銀行口座は、多くの場合、金融機関が死亡の事実を把握した時点で凍結され、相続人全員の合意書類などがそろうまで引き出せなくなります。当面の生活費や葬儀費用については、一定額まで先に払い戻せる制度が用意されているため、取引店に相談してください。詳しい仕組みは「親の通帳は何を確認する?」、保険金の請求は「親の保険、何を確認する?」で解説しています。
遠方のきょうだいとどう分担するか
すべてを喪主や同居していた子どもが抱える必要はありません。手続きを「窓口に行く必要があるもの」と「電話・郵送・オンラインでできるもの」に分けると、遠方のきょうだいにも役割を持ってもらえます。
- 窓口対応が要るもの:死亡届、火葬許可、口座の相続手続き(担当地域の家族が対応しやすい)
- 電話・郵送・オンラインでできるもの:年金の届出、保険金請求、各種契約の解約連絡(遠方のきょうだいでも担当可能)
進め方に迷ったら、家族会議の場で誰が何を担当するか一度すり合わせ、きょうだいの役割分担表に書き出しておくと、後々の行き違いを防げます。
ここまでの要点
- まず「今日・明日中にやること」5項目に絞り、全部を一度に抱え込まない
- 期限は7日・14日・3か月・4か月・10か月の順。相続放棄の3か月が特に見落としやすい
- お金の手続きは「止める」「受け取る」に分けて考える
- 手続きは窓口対応と電話・郵送対応に分けて、遠方のきょうだいにも割り振れる
よくある失敗
- 相続放棄の3か月を意識せず先送りする:借金の有無が分からないまま期限を過ぎてしまう
- 年金の届出を忘れる:年金は自動で止まらず、あとで返還を求められることがある
- 全部を喪主1人で抱え込む:分担できる手続きも多く、疲弊の原因になる
- 保険証券が見つからず、請求そのものを諦めてしまう:照会制度など調べる手段がある
この記事のまとめ
- 今日中にやることは5つだけ。他は落ち着いてから進めれば間に合う
- 手続きの期限は7日→14日→3か月→4か月→10か月の順で優先順位をつける
- お金は「止める」「受け取る」の視点で漏れを防ぐ
- 相続税・準確定申告・相続放棄など判断が絡む場面は、税理士・司法書士・弁護士・家庭裁判所に早めに相談する
- 手続きは分担できる。窓口対応と電話・郵送対応で役割を分ければ、遠方のきょうだいも力になれる
よくある質問
- 死亡届は誰が出せますか?期限はいつまでですか?
- 死亡届は、親族・同居人・家主・後見人などが提出できます。届出期限は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外での死亡は3か月以内)が原則です。実際には、葬儀社が代行して当日〜翌日に提出まで進めてくれることが多く、火葬許可証の発行と一体で進みます。期限や運用の細かな点は、届出先の市区町村役場に確認してください。
- 相続放棄の期限(3か月)を過ぎたら、もう放棄できませんか?
- 原則として、相続の開始を知った時から3か月(熟慮期間)を過ぎると、単純承認したものとみなされ、借金なども含めて相続することになります。ただし、財産の状況を知らなかった事情などにより、家庭裁判所が期間の伸長や、期限後の申述を認めた例もあります。期限が近い・過ぎてしまった場合は、自己判断せず早めに司法書士や弁護士、家庭裁判所に相談してください。
- 年金は、届出をしないと止まりませんか?
- 年金は自動では止まりません。年金受給者が亡くなったときは、日本年金機構(または共済組合)へ「受給権者死亡届」の提出が必要です(マイナンバーが登録済みの場合は原則省略できるとされています)。届出が遅れて年金が振り込まれ続けると、あとで返還を求められることがあります。届出の要否・方法は年金事務所に確認してください。
- 親の銀行口座は、亡くなるといつ凍結されますか?
- 多くの場合、銀行が死亡の事実を知った時点(親族からの連絡や新聞のお悔やみ欄などがきっかけ)で口座は凍結され、以後は相続人全員の合意や必要書類がなければ引き出せなくなります。生前の凍結の仕組みは「[親の通帳は何を確認する?](/money/parent-bank-account/)」で詳しく解説しています。当面の生活費・葬儀費用については、一定額まで払い戻せる制度(預貯金の仮払い制度)もあるため、取引店に相談してください。
- 手続きは全部、喪主や同居していた子どもがやらないといけませんか?
- そう決まっているわけではありません。死亡届や葬儀の手配は喪主が動くことが多いですが、年金・保険・口座まわりの手続きは、対応できるきょうだいで分担できます。役所や窓口に出向く手続きと、電話・郵送・オンラインで進められる手続きを分ければ、遠方のきょうだいも担当を持てます。
次のステップ
参考にした情報
- 死亡届 (法務省)
- 相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長 (裁判所)
- 年金を受けている方が亡くなったとき (日本年金機構)
- 相続税の申告と納税 (国税庁)
- 所得税及び復興特別所得税の準確定申告 (国税庁)