実家は誰の名義?権利証と登記の確認を、親が元気なうちに
この記事のポイント
- 実家の名義は「登記事項証明書」で誰でも確認できる。地番・家屋番号で請求する
- 名義が祖父母のまま・共有名義だと、相続の手続きが一気に複雑になる
- 2024年4月から相続登記は義務。相続を知った日から3年以内、過去分は2027年3月末まで
実家について、子どもが元気なうちに確認しておきたいのが、「誰の名義になっているか」と「権利証がどこにあるか」です。ここがあいまいなまま相続を迎えると、手続きの手間も、きょうだい間の揉めごとも大きくなります。名義は法務局で誰でも調べられます。この記事では、確認のしかた、権利証をなくした場合、2024年から義務化された相続登記までを整理します。
なぜ「元気なうちに」名義を確認するのか
- 名義が親ではなく祖父母のままだと、過去の相続が未了。相続人が世代をまたいで増え、手続きが一気に大変になる
- 共有名義(親と親戚の共有など)だと、共有者の1人が認知症や死亡で、売却も活用もできなくなる
- 2024年4月から相続登記は義務。放置すると過料や権利トラブルにつながる
いずれも、親が元気なうちに状況を把握しておけば、落ち着いて対応できます。
実家の名義は「登記事項証明書」で確認できる
法務局で「登記事項証明書(登記簿)」を取ると、次のことが分かります。
- 所有者は誰か(単独名義か、共有名義か。共有なら持分の割合)
- 抵当権が付いていないか(住宅ローンが残っているか)
- 正確な地番・家屋番号、土地の面積
名義や抵当権を確認するだけなら、ネットの「登記情報提供サービス」で登記情報を閲覧できます(数百円)。証明書として使う場合は、法務局の窓口・郵送、または「登記・供託オンライン申請システム」で「登記事項証明書」を取得します。
「権利証」とは何か ― なくても手続きはできる
昔の「権利証(登記済証)」は、2005年前後の制度改正で「登記識別情報通知」という書類(12桁の符号)に変わりました。いずれも発行は1度きりで、再発行されません。
名義が親でない・古いままだったら
登記簿を取って、名義が亡くなった祖父などのままだった場合、過去の相続が終わっていません。祖父→親→自分、と順に登記をさかのぼる必要があり、放置するほど関係する相続人が増えて、話し合いも書類集めも難しくなります。早めに司法書士に相談してください。
相続登記の義務化(2024年4月〜)
- 相続(や遺言の存在)を知った日から3年以内に登記を申請する義務がある
- 正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象
- 2024年3月以前に発生した相続も対象で、2027年3月末までの猶予がある
- すぐに遺産分割がまとまらないときは、「相続人申告登記」という簡易な手続きで、いったん義務を果たせる(あとで正式な登記に移行する)
生前贈与で先に名義を子に移すべき?
「相続で揉めないよう、先に子ども名義に」と考える人もいますが、生前贈与では贈与税・不動産取得税がかかり、登録免許税も相続より高くなります。安易に動かさず、税理士・司法書士に相談してから判断します。多くの場合、まずは「名義と権利証の場所を確認しておく」だけで十分です。
元気なうちにやること
- 固定資産税の納税通知書から、実家の地番・家屋番号を控える
- 「登記情報提供サービス」で名義を確認する(証明書が要るなら法務局で登記事項証明書を取る)
- 所有者が誰か、共有名義でないかを確認する
- 住宅ローンが残っていれば、残高と団体信用生命保険の有無
- 権利証(登記識別情報)・実印・印鑑登録カードの保管場所を確認する
- 分かったことを「親の情報整理シート」に記録する
ここまでの要点
- 実家の名義は登記事項証明書で確認できる。鍵は固定資産税通知書の地番・家屋番号
- 名義が古い・共有だと相続の手続きが複雑になる。早めに司法書士へ
- 相続登記は2024年から義務。3年以内、過去分は2027年3月末まで
- 権利証は紛失しても手続きは可能だが、場所は確認しておく
よくある失敗
- 名義を確認しないまま相続を迎える:祖父名義のままだったと後で判明し、手続きが長期化
- 地番が分からず登記簿が取れない:固定資産税通知書を先に用意する
- 相続登記を「あとで」と放置する:3年の期限と過料。相続人も年々増える
- 節税のつもりで安易に生前贈与:贈与税・取得税で相続より高くつくことがある
この記事のまとめ
- 元気なうちに「実家は誰の名義か」「権利証はどこか」を確認しておく
- 登記事項証明書は誰でも取得可能。地番・家屋番号は固定資産税通知書で分かる
- 名義が古い・共有名義なら、早めに司法書士へ相談する
- 相続登記は義務。3年以内、過去分は2027年3月末までに
- 生前贈与は税負担が大きいことがある。動かす前に専門家へ
この記事の内容を、手を動かして整理できます。
情報整理シートに記録するよくある質問
- 実家が誰の名義か、どうやって調べればいいですか?
- 名義を確認するだけなら、ネットの「登記情報提供サービス」で登記情報を見られます(数百円、証明力はなし)。相続手続きなどで証明書が必要なときは、法務局の窓口・郵送、または「登記・供託オンライン申請システム」で「登記事項証明書」を取ります。いずれも請求には住所(住居表示)ではなく「地番・家屋番号」が必要で、これは固定資産税の納税通知書に載っています。誰でも取得でき、家族でなくても請求できます。
- 権利証が見つかりません。相続や売却はできませんか?
- できます。権利証(現在の「登記識別情報通知」)は紛失しても再発行されませんが、司法書士による本人確認情報の作成などで手続きは進められます。ただし手間と費用は増えるため、「どこにあるか」を親が元気なうちに確認しておくのが安心です。
- 相続登記をしないと、どうなりますか?
- 2024年4月から相続登記は義務化され、相続(や遺言)を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象になります。それ以上に問題なのは、放置するほど相続人が増えて話し合いが難しくなり、売却も担保設定もできなくなることです。
- 実家の名義が、亡くなった祖父のままでした。どうすればいいですか?
- 過去の相続が終わっていない状態です。祖父から親へ、親から自分へ、と順に登記をさかのぼって行う必要があり、関係する相続人が多いほど複雑になります。放置すると年々難しくなるため、早めに司法書士に相談してください。2024年3月以前に発生した相続も義務化の対象で、2027年3月末までの猶予があります。
- 親が元気なうちに、家の名義を子どもに変えておいたほうがいいですか?
- 生前贈与で名義を移すと、贈与税・不動産取得税がかかり、登録免許税も相続より高くなります。「揉めないように先に」と安易に動かず、税理士や司法書士に相談してから判断してください。多くの場合、まず「名義と権利証の場所を確認しておく」だけで十分です。
参考にした情報
- 相続登記の申請が義務化されました (法務省)
- 登記事項証明書等の交付請求 (法務局)
- 贈与税・不動産取得の税金 (国税庁)